アウト オブ ザ ブルー

その言葉には目が飛び出るくらい驚いた。




しかしそういうことなら、コージさんとキーチが似ていることにも納得がいく。



よく世間は狭いと言うが、このときほどその言葉を実感したことはない。




私は「そうだったんだ」と何度かうなずいてみたが、すぐにコージさんの身の上話を思い出し、改めてたずねた。


「でもコージさんて、お母さんとふたり暮らしじゃなかったっけ?」




「ああ…、親が離婚したとき、兄貴は親父の方について行ったんだ」



コージさんとキーチは仲が良くて、別れて暮らすようになってからもちょくちょく会っているとのことだった。


「それより、みちるの方は兄貴や深雪とどういう関係なの?さっき深雪に『先輩』とか言われてたけど…」




今度はコージさんから質問されたので、私は初めて母校の名前を出し、深雪ちゃんとは同じサークルだったんだと説明した。


コージさんも世間の狭さに驚いたらしく、何度か「へー」と言っていたが、すぐに自分の仕事に取りかかり始めた。
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