アウト オブ ザ ブルー

「ねえ、こーちゃんも結婚式に来るんでしょ…?」




不意に深雪ちゃんがコージさんに向かって言った。


コージさんは床にモップをかけながら答えた。


「兄貴がしつこいからね…。おふくろは来ないみたいだけど」


「そう…」




深雪ちゃんに「何?親戚に結婚式があるの?」とたずねると、彼女は恥ずかしそうに言った。


「実は、さっちゃんのお披露目も兼ねて、6月に結婚式を挙げる予定なんです…。ミッチ先輩も来てくれますか?」




「え…」






普通、好きな人の結婚式なんて、とてもじゃないけど行けないものだ。



けれど、


「ミッチ先輩とマサ先輩はもしかしたら難しいかなって思ったんですけど、一応国交部で一緒だった人みんなに声をかけてみようってキーチと話してたんです」


と言われて、つい


「わかった。じゃあ、招待状は実家の方に送ってくれる?」


と言ってしまった。



言った後から後悔したが、深雪ちゃんが嬉しそうに微笑むのを見たら、もう前言を撤回することなどできなかった。
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