アウト オブ ザ ブルー

退院後。



私は両親に甘えながら、しばらく実家でのんびり過ごすことになった。


マサが「ミッチの心が落ち着くまで、実家でゆっくりしてきなよ」と言ってくれたのだ。



両親とはそれほどギクシャクすることなく一緒にいることができたので、私はどこかほっとしていた。




手術や入院にかかったお金は、マサが職場で手続きを踏んで出してもらうことになった。


ありがたかったが、少し申し訳ない気もした。




そんなふうに私はマサにいろいろと世話になっていたのだけど、


実家にいる間、私が彼に連絡を取ることはほとんどなくなっていた。



仕事と教員採用試験の受験勉強で忙しくしているのか、マサから私に連絡が入ることもなかった。



マサとはあの日以来離婚の話もしていなかったのだけど、


もしかすると彼は私に別れ話をされるのが嫌で、あえて連絡を避けているのかなと思うときもあった。



そういえば、結婚指輪もマサの家にしまわれたままだ。




戸籍上は夫婦になったというのに、


夫婦らしいところが一切ない私達だった。
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