アウト オブ ザ ブルー

コージさんは大通りに立ち並ぶ、とある古いビルの最上階にある、小さなイングリッシュ・バーで働いていた。



聞けばこっちで国際結婚したというイギリス人がオーナーをつとめるお店で、


店は入り口から思いっきり英国の雰囲気をかもし出していた。



お客はまばらだったがやはり白人が多くて、


薄暗い店内に足を踏み入れたとたん、私はかなりの違和感を覚えた。




日本にいるのに日本じゃないような不思議な空気にあっけにとられていると、


コージさんが私に気づいて対応してくれたので、


いろんな意味でドキドキしながらカウンターに座った。



そこでお酒を作ってくれるコージさんと最初は世間話をしていたが、


客が増える度にコージさんはその対応に追われていたので、なかなか本題に入れなかった。



仕方なく私は彼に、「話があるんだけど、バイトの後でちょっと時間作ってもらえないかな?」と頼んでみた。


するとコージさんはあっさりオーケーしてくれたので、


私は閉店まで店の一番奥のテーブルで待たせてもらうことにした。
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