アウト オブ ザ ブルー
§18 最後の夜
予想もつかないキーチの言葉に言葉を失くしていると、
彼はアクセルをふかし、下りるはずのインター・チェンジを一気に通り越した。
「えっ?ちょっと、キーチ…?」
窓から見覚えのある夜景を見送った。
「ここで下りないでどうするの…?」
「大丈夫、明日の朝ちゃんと送っていくから」
心臓がまたバクバク言い始めた。
キーチの車は次の次のインターで下りると、すっと国道から脇道にそれた。
そしてネオンで煌煌と光る建物を見つけると、何の迷いもないようにそこへ滑り込んだ。
あせった。
確か1年近く前にもこんなことがあった。
あの夜私は妊娠したのだ。
どうしよう…。
今は互いに既婚者なんだし絶対まずいよと思っていると、先に車から降りたキーチが「行こう」と言った。
結局、促されるまま車外へ出た。