アウト オブ ザ ブルー
キーチに続いて中に入ると、外観の派手さとは一転、落ち着いた感じの空間がそこにはあった。
静かなジャズが流れている。
入り口のところで立ち尽くしていると、エアコンを調節していたキーチに「どうした?」と聞かれた。
「やっぱりダメだよ…」
そのまま動けずにいたら、キーチがこちらにやって来て、ガチガチになった私の手を取った。
「嫌なら何もしないよ。ただ少し話そう?」
結局、ふたりで大きなベッドに仰向けになった。
BGMに耳をすましながら天井を見ていると、しばらくしてキーチが口を開いた。
「ミッチはマサとうまくいってんの…?ずっと実家にいるみたいだけど…」
「えっ…」
私は少し考えて言葉を選んだ。
「うん…、マサ今忙しいみたいで、あんまり連絡取ってないんだけど、仕事を探してもらったりはしてるかな…」
「へー。やっぱあいつ、いいやつだな」
「そうだね…」
「あいつのこと、大事にしろよ…。これからミッチが頼れるのは、マサだけなんだしさ…」