アウト オブ ザ ブルー
§19 夢
キーチと過ごした一夜は、まるで夢のようだった。
翌朝実家まで送ってもらうと、私は自分の部屋で彼にもらったCDをかけながら、しばらく放心状態に陥った。
今度こそキーチは本当に手の届かないところへ行ってしまうのだ。
聴きこんだバラードの歌詞が心に沁みた。
その後、
キーチの面影を抱いたまま日々ぼーっと過ごしていたら、
彼がカナダに発つと言っていた日が過ぎ、お盆が過ぎ、8月ももう終わりに近づいていた。
最後にキーチにマサと仲良くするよう言われていたので、離婚は考え直して、キーチの言う通りマサの家に戻ろうかと本気で悩んだ。
戻るなら早い方がいいとわかっていた。
でもここで戻ったら、もうマサから離れられないような気がして決心が鈍った。
…しかし、
この後私は卓くんからかかってきた電話のせいで、またマサのもとへ帰ることになるのだった。