アウト オブ ザ ブルー
〈もしもし、みちるさん…?卓ですけど、今ちょっと話しても大丈夫ですか?〉
「うん。…けど卓くんから電話なんてめずらしいね。もしかしてまたマサに何かあった…?」
〈いや…、そういうわけじゃないんですけど…〉
卓くんは少し間をおいて言った。
〈みちるさん…、ミヤケタカシさんって、ご存知ですか?〉
「ミヤケ、タカシ…?」
ドキッとした。
…知らないわけはない。
それは私が、以前付き合っていた人の名前だ。
バイト先で知り合った彼…三宅さんは、私と付き合うようになってから、小さなラーメン店を営んでいた。
別れてからは全く連絡を取っていなかったが、その店が最近になってつぶれたという話は噂で聞いていた。
こんなところで彼の名前を耳にするなんて、夢にも思わなかった。