アウト オブ ザ ブルー

コージさんはモップをかける手を止め、立ち止まった。


「深雪のことは俺だってなんとかしたい気持ちがないわけじゃないんだけど、あいつのこと考えたり、連絡を取ろうとしようとすると、それだけで心がこう…、何かにぎゅっと押しつぶされたみたいに苦しくなるんだ…。うまく説明できないけど、頭が急にパニくって、何もできなくなってしまうっていうか…。だから、俺はあえて自分から深雪に連絡しないことに決めたんだ。…時間が経てば、俺の気持ちもあいつの気持ちも薄れていく日が来ると思うし、とりあえず今はそんな日が来るのを待つしかないのかなって思ってる…」




好きな気持ちが薄れていく日…。



いつか私にもそんな日が来るのだろうか。




実に胸に痛い話だ。




「でも、コージさんはホントにそれでいいの…?」




彼は浅くうなずいた。






コージさんの話は相変わらず腑に落ちなかった。



それは彼が言った通り、私が子どもだからということもあるかもしれないけど、


やはり深雪ちゃんが不憫だった。



入院中私が彼に聞いた話は、とりあえず自分の胸の内にしまっておくことにした。
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