アウト オブ ザ ブルー
その日深雪ちゃんは「今夜少しお話できますか?」と言ってきたので、
みーくんが寝てから、私はパジャマのまま彼女の部屋を訪れた。
中に入ると手前の部屋に通され、そこに置かれた小さなテーブルの前に座るよう言われた。
部屋はきれいに片付けられていて、殺風景な印象さえある。
さっちゃんは奥の部屋で眠っているようだった。
深雪ちゃんは台所からマグカップを持ってくるとテーブルの上に置き、「よかったらどうぞ」とすすめてくれた。
「ありがとう」とそれをいただくと、彼女は私の向かいに腰を下ろし、声を潜めるようにして話し始めた。
「すみません、こんな遅くにお呼びしちゃって…」
「それは大丈夫だけど、改まって話がしたいだなんて、何かあったの…?」
考えてみれば、退院してからずっと慌しくしていたので、こうして深雪ちゃんとゆっくり話すのも久しぶりだった。
久々に近くで見る彼女の顔は、なんだかやつれているようにも見える。
「実は私、ちょっと手術をすることになって、明日から総合病院に入院するんです…」
「えっ…、手術…?」
「はい…」
それは、全く予想できない話だった。