アウト オブ ザ ブルー

コージさんは深雪ちゃんをすごくやさしい目で見つめた。


「みちるから電話をもらって、一時帰国したんだ」




彼は私の方に顔を向けると、「みちる、電話ありがとな…。あれから俺、すぐこっちに戻って来たんだ」と言った。


「そうだったんだ…」




おとといコージさんがいきなり電話を切ったのは、深雪ちゃんの話を聞きたくなかったからじゃなく、急いで帰国するためだったんだと、ようやく私は理解した。




「手術、終わるまで待ってるから、悪いとこ取ってもらって、また元気になって戻ってこいよ…?」




深雪ちゃんの目には、いつの間にか大粒の涙があふれていた。


「こーちゃん…、私ね、もう子どもが産めなくなるんだって…。またこーちゃんと家族を増やしていくことが夢だったのに…、その夢はもう叶わないんだって…」
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