アウト オブ ザ ブルー
彼女の泣き声は次第に大きくなって、まもなく嗚咽に変わった。
「手術してもがんが他に転移してれば、命の保証だってないし…。私がいなくなったら、さっちゃん、これからどうしていけばいいの…?」
さっちゃんが「ママー」と言いながらベッドに近づき、コージさんの隣から彼女の顔を見上げた。
コージさんはさっちゃんに目をやると、彼女を片手でひょいっと抱き上げ、深雪ちゃんに言った。
「確かに子どもは産めなくなるかもしれないけど…、お前にはもう幸と…、俺がいるから十分だろ…?」
その言葉に深雪ちゃんは一瞬泣きやんだように見えた。
…が、またすぐ興奮したように口を開いた。
「そんなの…、全然意味無いよ…。だってこーちゃんは今すごく遠くにいるじゃない…。私とさっちゃんを置き去りにしてさ…」
するとコージさんはさっちゃんを抱いたまま、もう一方の手で深雪ちゃんの肩を抱きしめるようにして言った。