アウト オブ ザ ブルー

「俺…、こっちに戻ってくるから…」




その発言には、私だけでなく深雪ちゃんも耳を疑ったことだろう。




「この町で俺…、深雪と幸のこと、ちゃんと見守っていくから…」




「ホント…?」




「ああ…。だから、手術終わったら絶対元気になって、お前も俺と幸のこと、幸せにしてくれよ…?」




深雪ちゃんは目を真っ赤にしながらしばらく無言でいたが、やがてうんうんとうなずきながら再び声をからして泣き始めた。


「バカ…、ホラ、泣くなって…!幸が心配するだろーが!」




コージさんは彼女の頭を片手でポンポンとなでた。





その光景は私の目にまるでひとつの家族のように写り、私は心の中で深雪ちゃんによかったねと言った。




そして自分のできることはもう終わったと思い、そのまま黙って病室をあとにすることにした。
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