アウト オブ ザ ブルー

「でもさ、マサんちだってお父さんいないわけでしょ…?だけどちゃんと暮らせてるじゃん。大学まで上げてもらってさ」


友実が言った。




マサは高校時代にお父さんを事故で亡くしている。


それでも英語教師になりたいという夢を叶えるため、奨学金をもらいながら地元の大学に通っているのだった。


「だから俺んちだって相当苦労してるんだって…!就職したら奨学金だって返していかなきゃなんないし…、ホント荷が重いよ」


マサが言い返した。


「とにかく、今の一時的な感情で動くんじゃなくて、十年後、二十年後のことを考えて動けよ…。ミッチはまだ若いんだし、何もここで人生棒に振ることないだろ…?結婚や出産なんてこれからまたいつでもできるんだから、まずは大学卒業して、ちゃんと就職することが先なんじゃないのか?」




マサはいつも物事を現実的に考える。


彼の意見はいちいちもっともだと思った。



そしてマサはため息をつき、こう続けた。
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