アウト オブ ザ ブルー
友実と別れた後、なんとなくまっすぐ家に帰る気がしなかった私は、駅に向かう途中で本屋に立ち寄った。
今までは全く気にも留めなかったのに、妊娠したとたん急に妊娠・出産の本が目に付いた。
表紙をお腹の大きな女性が飾っている本を1冊手に取ってみる。
ゆっくりページを開くと、各週の胎児の超音波写真がグラビアになっていて、それぞれに赤ちゃんの様子を表す短い説明文がついていた。
この本を買おうかと思った。
…しかし、今はまだやめておこうと思い、私はその本を閉じた。
帰宅後。
やはり今日もすぐベッドに横になった。
最後に見たキーチの笑顔を思い浮かべてみる。
胸のあたりが痛くなった。
涙で枕がグショグショになった。
自分で思っていた以上に、キーチのことを好きだったんだなと思った。
やっぱり、彼の子を産みたい…。
けれど、自分にはまだそう決意できるほど勇気がなかった。
マサの言葉がまた胸を締めつけた。