アウト オブ ザ ブルー
心が沈んでいるときに昔の知り合いに会うと、それだけで救われたような気がするものだ。
私は一緒に夕食をとることを快諾した。
7時頃、私達はバイト先のすぐ近くにある焼肉店で落ち合った。
お店はまおちゃんのリクエストだった。
窓側の席に向かい合って座ると、まおちゃんは照れたように笑った。
「他の店ならひとりでも入れるんだけどさ、焼肉屋さんだけはなんかひとりだと来づらいんだよね」
「じゃあ旦那さんと来ればいいじゃない」
私がそう言うと、まおちゃんは表情を曇らせた。
「ごめん…、みちるちゃんにはまだ言ってなかったんだけどさ…、私離婚して、今はひとりなの…」
「え…」
まおちゃんの左手を見ると、確かに薬指に指輪がなかった。
彼女は離婚後再就職し、その関係でこっちへ越してきたのだと説明してくれたが、
私は聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がして、言葉に困った。