アウト オブ ザ ブルー
§5 嘘の行方
雲が月を覆い、星ひとつ見えない暗い夜だった。
タクシーは病院の前で私達を降ろすと、またすぐ闇の中へと消えていった。
病院に入るとまおちゃんが受付で話をしてくれ、私は看護師から診察室1番に入るよう言われた。
そこに入るのは約3週間ぶりだった。
私はまたあの奇妙な椅子の上に座らされ、カーテン越しに医師の診察を受けた。
「切迫流産ですね」
「切迫、流産…」
予想通り『流産』という言葉を聞いて、胸がつぶれそうになった。
「赤ちゃん…、死んじゃったんですか…?」
「いや…。切迫流産というのは流産になりかけている状態のことを言って、流産ではありませんので…」
「じゃあ赤ちゃんは…」
「大丈夫、まだ生きてますよ」
…体の力が一気に抜けた。
赤ちゃんが死んでしまったのではないかと心配していた私は、医師の言葉に泣きそうになった。