アウト オブ ザ ブルー
「真緒美ちゃんは入院の理由を話してくれなかったんだが、産婦人科に入院するなんてお前、一体どこが悪いんだ…?」
父がメガネのレンズをハンカチで拭きながら聞いてきた。
いよいよ両親に本当のことを話さなければいけないときが来たと思った。
「まさか流行りの乳がんとか子宮がんとか、そういうんじゃないわよね…?」
母が私の顔を覗き込む。
「違うの…」
私は父に怒鳴られるのを覚悟しながら、ふたりの顔を交互に見て言った。
「私…、妊娠してるんだ…」
両親の顔色がみるみる変わっていくのがわかった。
「きのうは流産しそうになってここに入院したの…。今日は退院できるみたいだけど、赤ちゃんのことを考えて、しばらく家で安静にしてなきゃいけないんだって…」
「それで、今赤ちゃんは大丈夫なの?」
母に聞かれた。
「うん…」
「予定日はいつ?」
「来年の5月みたいだけど…私、産みたいと思ってる…。だからお父さんとお母さんにもいろいろと協力してほしいんだけど…」
そこまで言うと、それまで黙っていた父が静かに口を開いた。