アウト オブ ザ ブルー
「なんだって…?」
マサの発言に、父は私をつかんでいた腕を放した。
「どうしてそれを早く言わないんだ!」
今度は両手でマサの襟元をつかんだ。
「まったく、とんでもないことをしてくれたもんだ…。君は一体、この責任をどう取るつもりだね?」
「それは…」
マサは一瞬口をつぐんだが、またすぐ口を開いて言った。
「…もちろんみちるさんと結婚して、一緒に子どもを育てていこうと考えていました…。後でちゃんと挨拶にうかがおうと思っていたのですが、こんな形で報告することになってしまい、申し訳ありません…」
父はマサをきつく睨んだが、すぐにあきらめたように手を放した。
「失礼だが、君は娘とどういう関係なのかね…?結婚するなんて簡単に言うが、君の収入はどれくらいあるんだ?」
マサは姿勢を正した。
「申し遅れました…、僕は深井と申します。みちるさんとは大学の同級生で、入学したときから仲良くさせてもらっていました…。今はまだ学生なのでアルバイトの身ですが、来年の春には就職が決まっていますので、それでなんとか生計を立てていけるかと思っているのですが…」