アウト オブ ザ ブルー
彼には彼なりの哲学がいろいろあって、何かにつけてはこんなことを言うのがおきまりだった。
“いいか、人生はまさに『アウト・オブ・ザ・ブルー』だ。
晴れ渡った青空にも突然雷鳴が起こり、雲行きがガラリと変わることがある。
言ってみればまぁ、平穏順調な生活にも、ありえないことが突然起こり得るっつーことだな。
…けど覚えとけ。
やまない雨はないんだ。
人生、どんなことが起きたって、きっとなんとかなるにきまってるのさ”
気休めにしかならないとわかってはいたが、私は彼のその言葉をおまじないのように心の中で繰り返してみた。
それは私がキーチを心の支えにしていたこともあるが
なにより
私のお腹の中の赤ちゃんの父親が
…彼だったからだ。