アウト オブ ザ ブルー

マサの方を見ると、彼は目線をこちらに向けて、心配するなとでもいうように笑ってくれている。


彼は一体どういうつもりで父にあんな嘘をついたのだろうか…。




マサの心が読めない分、私はそんなことが気になって仕方なかった。






そして、


少し考えると、私の頭に非常に都合のいい解釈が浮かんだ。




マサはやさしい。


私のことを好きだと言ってくれている。


もしかしたらマサは私を父から守るために、一時的にあんな嘘をついてくれたのかもしれない…。






マサの本心はわからなかった。


けれどもしそうなら合法的に赤ちゃんが堕ろせなくなる時期まで、


このままマサがうまく親をごまかし続けてくれるとありがたい。




マサには申し訳ないが、彼のやさしさに甘えさせてもらおう…。






両親とマサが話している間そんなふうに考えてみたものの、


このときの私はまだマサの本心を全く知らなかった。
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