アウト オブ ザ ブルー

卓くんはいずれお店を継ぐつもりで、


高校を出てから大通りにある割烹料理店で料理人修業をしているということだった。



マサと部屋を共有していた彼は、私が越してくると義母の部屋に移り、そっちで寝起きすることになった。


彼にも義母にも大変迷惑をかけたと思う。


けれど卓くんは私に嫌な顔ひとつせず、会えば常に挨拶を欠かさず、私の体調まで気にしてくれるような人だった。


卓くんの社交性と、短く刈った髪の毛と大きな目には、マサや義母にはない、何かさわやかな印象があった。



年の近い異性との同居を最初は意識していたけれど、


彼のことはすぐに本当の家族のように思えるまでになっていた。
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