アウト オブ ザ ブルー

マサは私の『友達』から『婚約者』もしくは『内縁の夫』という存在に昇格したのだろうけど、


同居を始めたこと以外に私達の間で特に何かが変わったということはなかった。



マサの態度は同居前と同じだったし、私も今まで通り接するしかないと思っていた。




夜は彼の8畳の部屋にふとんを並べて寝ることになった。


最初はマサの前で着替えるだけでもかなり抵抗があったが、そういうとき彼は必ず部屋から出て行ってくれた。


ふとんに入った後も、何か強要されたらどうしようとドキドキしていたが、


彼はキスすら求めてくることがなかったので、私は安心して休ませてもらうことができた。



マサなりにいろいろ気を遣ってくれてるのだろうと思うと、なんだか彼に悪い気がした。






彼は時々冗談のように、


「俺らみたいな男女の関係を歌った曲があったよな…ほら、キーチがよく部室でBGMにしていたダリル・ホールとジョン・オーツの…あれ、何て歌だったっけ?」


と聞いてくることがあった。


けれど私はマサが私との仲をどうとらえているのかわからなくて、なかなかその答えを考え出せずにいた。
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