始まりの予感
「無理、シオには関係ねぇ」
マリアちゃんが来ると、エイジはいつもふてくされたような態度に変わる。
幼なじみならもう少し優しくしてあげてもいいのに、もしかしたらそれがエイジなりの照れ隠しなのかもしれないと最近密かに思い始めた。
あは、可愛い奴め。
バレバレだよ?
ノブはそんなエイジとマリアちゃんのやり取りを、愛想笑いをしながら見つめている。
「エイジ、幼なじみには優しくしてあげなきゃ」
なんて可愛い事を可愛らしい口調で言うノブに若干萌え。
私は思わずノブの腕にギュッと抱き付いた。
「わ、どうした?シオ?」
優しく微笑みながら、ノブが私に問いかける。
ノブはいつも嫌がらずにこんな私を受け入れてくれる。
「ノブが幼なじみで良かったなって」
最近また背が伸びたノブ。
バスケをしているせいか、身体付きも少し男らしくなった気がする。
んー、でもやっぱりときめくというよりも可愛いって気持ちの方が大きいな。
弟キャラ的なね。
「前から思ってたんですけど、シオリ先輩とノブ先輩って付き合ってるんですか?」
付けまつ毛をしたマリアちゃんの魅惑的な瞳が、真っ直ぐ私に向いて思わず胸がドキッとする。
その天然の可愛さが羨ましい。