始まりの予感


読み終えた後、手紙を握り締めたままボーッと物思いに耽る。









「なになに……ずっと見て来ました。今日の放課後体育倉庫に来て下さい────って、マジでラブレターかよ⁉」


突然耳元で声が聞こえたかと思うと、持っていた手紙を奪い取られた。

とっさにそこに顔を向けた私は思わず驚愕する。


「え、エイジ?なんで?」


しかも、マジでラブレターかよってなに?


唖然とする私の瞳に、エイジの意地悪な微笑みが映し出される。


「んー、テレパシー?ってかマジ面白え」


わけのわからない事を言いながら、エイジは手紙に目を走らせている。

っていうか、面白くねぇし。


「勝手に読まないで!返してよ!」


慌ててイスから立ち上がり、エイジの両手によって高く掲げられた手紙を取り返そうと必死にジャンプする。


そんな私を優雅に見下ろしながら、エイジは悠々と顔を上に向けて手紙を読み進めた。

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