始まりの予感
「じゃあ放課後校門で待ってるねー!」
階段まで来たところで、マリアちゃんは一年生の教室へと戻って行った。
嬉しそうにキラキラした笑顔を振りまいて。
「良かったね、デート出来る事になって」
マリアちゃんは素直で純粋だ。
自分の気持ちをあれだけストレートにぶつけられるなんて本当にすごい。
あんなに純粋にぶつかって来られて悪い気がする人なんてきっといない。
「シオ、うざすぎ」
私の顔を見ずに前を向きながらエイジはそう毒づいた。
その横顔は明らかに怒っていて、私の頭の中は疑問符でいっぱいになっていく。
「はぁ⁉なんでよ?それ、かなりこっちのセリフだから」
「うざいから、話しかけんな」
そう言うと、エイジは教室とは違う方向へ向かって歩き出した。
なんなのよ、本当にもう!
頼まれても話しかけないよ!
うざいって、こっちのセリフだっつーの!
ムカつく。