始まりの予感
「おかえりー、シオ!あれ?エイジは?」
ニヤニヤしながらエマが私に駆け寄って来る。待ってました、と言わんばかりの満面の笑みで。
「エージ⁉誰それ」
あんな勝手な奴、もう知らない。
勝手にすればいいんだ。
「どうしたの?ご機嫌斜めじゃん」
「別に?なんでもないよ」
自分の席に座り辺りを見渡す。
そこにはノブもいなかった。
「ノブは?」
「バスケして来るって。ってか、本当にどうしたの?般若みたいな顔しちゃって……怖いんだけど」
エマは私の前に腰を下ろすと、手にしていたポッキーを私に向かって差し出した。