始まりの予感
「ちょっと、私が先に言ったんだからね!水やりしたからって、なんで先にエイジに見せなきゃいけないのよ」
ってか、水やりなんてウソに決まってる。
つくならもっとマシなウソをつけ。
「水やりして疲れたんだよ、だから先に見せろ」
「それとこれとは関係なくない?今日数学当たるから、先に見る権利は私にある」
そう言ってエイジが持つノートに手をかけ、思いっきり引っ張る。
怒ってたんじゃないの?
私に話しかけるなとか言って来といて、あんたから話しかけてんじゃん。
まるで何事もなかったかのように接して来るエイジ。私がする事にいちいち首を突っ込んで来て掻き乱したがる。
このやりとりも、いつもとなんら変わりない日常。
「俺だって当たるんだよ。だから先見せろ」
「無理!」
ぎゃあぎゃあ言ってノートの取り合いをしていると、休み時間の終わりを知らせるチャイムが聞こえて来た。