始まりの予感


するとその時。



カバンに入れていたスマホのバイブが鳴る音が聞こえた。



幸いにも先生はそれに気付かずに、淡々と黒板に文字を綴っていってる。



開くと受信フォルダにノブからのメールがあった。



『さっきは笑ってごめん。
俺はシオの味方だよ。
だから、機嫌直して?
エイジは水やりで疲れてたんだよ』



最後の一文にはちょっと疑問が残るけど、ノブのこういうところはたまらなく好き。


いつも私を気にかけて、優しくしてくれるノブが。



『ありがとう。
やっぱりノブは優しいね!
エイジの事は許せないけど
もう怒ってないよ』



そう返事をして、スマホをポケットの中にしまった。


ノブもすぐにメールに気付いたようで、机の下でスマフォを触っていた。



『それなら良かった。
エイジに悪気はないと思うけど、
やり過ぎた感は確かにあるね。
なにかあったらまた話聞くから』



なんて優しいんだ、ノブは。
エイジなんかと大違い。



単純過ぎる私はノブからのメールにかなり機嫌を良くし、エイジに対して許してあげてもいいかなっていう気が少し湧いて来た。


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