始まりの予感


ピシッ


頬に小さな何かが当たった感触がして、思わず視界の端にわずかに映るエイジの方を見た。



なんだか、嫌な予感。


ピッ



案の定、エイジは私目掛けて人差し指で白い小さな塊を弾いていた。



それがちょうど振り向いたタイミングで、私の唇に当たった。



ノートの上に転がったそれをまじまじ見つめる。



それは小さくちぎられた真っ白い消しゴム。



どうやらそれを私に向かって指で飛ばしていたらしい。



無表情で不機嫌そうな顔をしながら。



授業そっちのけで、消しゴムを飛ばす事に専念している。



おい、マジで意味不だから。


せっかく許してあげようって気になったのに宣言撤回。


絶対、許してやんない。


「や・め・ろ」


口パクでそう言い思いっきり睨み付けてやったけど、エイジは全く反省する素振りを見せずに声を殺してケラケラ笑っているだけだった。


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