始まりの予感
消しゴム飛ばすとか、あんたは小学生か。
いや、小学生でさえそんなことしないよ。
授業が終わるまでの間中、エイジから消しゴムの嵐が止む事はなかった。
ムキになって私も仕返しをしたけど、運悪く先生に見られてしまって。
「消しゴムを飛ばす暇があったら、教科書を見て数式を覚えなさい」
なぜか、私だけが怒られる羽目に。
けれど言い訳をするのもみっともないと思い、喉まで出かかった言葉を必死に呑み込んだ。
「ぶっ、くくっ。だっせ、見つかってやんの」
怒られた直後、少しざわつく雰囲気の中でエイジが小さくそう呟いた。
身体をよじりながら、目に涙をためて笑っている。
「誰のせいだと思ってんのよ!」
そんなエイジをキッと見つめ、はぁと大きくため息を吐き出す。
「俺知らねぇし」
今日はとことんついてない。
そういえば、朝の占い最下位だったっけ。
そんな事実が、余計にまた私の心を曇らせた。