始まりの予感


もういいや。


今日のところはラブレターに免じて許してあげる。


占いが最下位だった事も、エイジにされた今までの事も、放課後の事を考えたら他愛ない事だ。


放課後になるにつれてドキドキも増して来たし、何よりも差し出し人が気になって仕方なかった。


頭の中は、まだ見ぬラブレターの相手の事でいっぱいになっていく。


どんな人なんだろう。


意味もなく周りが気になって辺りをキョロキョロ見回したけど、教室の中はいつもと変わらない空気が流れている。


顔もそこそこ気になるけど、やっぱり重要なのは中身だよね。


いくら顔が良くても性格が悪かったらときめかないし。


もし付き合うならエイジみたいなタイプは絶対ゴメンだし、それならノブみたいな優しい人がいい。


かと言ってノブと付き合いたいのかと問われると、さらさらそんな気はない。


大事な幼なじみだけど、家族同然に過ごして来たノブと付き合うとか考えられない。


考えてみたら、私ってまともに恋愛した事がないな。


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