始まりの予感
「なに話してたんだよ?」
ブスッとした膨れっ面でエイジが私に近寄って来る。
機嫌が悪そうだけど、そんなの私の知った事じゃない。
「テレパシーで当ててみれば?」
さっきの仕返しと言わんばかりの意地悪な顔でそう言ってやった。
まだ忘れたわけじゃないんだからね。
クラスメイトはほとんど帰ってしまい、教室には数人しかいなかった。
「テレパシーにも限度ってもんがあんだよ、なに話してたかとかまでわかるわけねぇだろ」
なんだ、そこまですごくないんじゃんテレパシー。
「じゃあわかるまで考えれば?」
私の後を追って来たエイジも、隣の席からぺちゃんこのカバンを持って肩に掛けた。
ノブとエマの席にはまだカバンがあるから、掃除が長引いているのだろう。
「今日のシオ意地悪だなー、そんな冷たくされたら泣いちゃうよ?」
「泣きたいのはこっちだし。誰のせいで授業中怒られたと思ってんの?」
その言葉にきょとんとするエイジ。
「シオのせい?」
いやいや、あんたのせいだからね?
可愛くシオのせいとか疑問系で言ってんじゃないっての。