始まりの予感


許してあげようと心に誓ったはずなのに、さすがにここまでとなるとそんな気もなくなる。



「少しは有明君を見習って反省とかしたら?」



その言葉にエイジはまたブスッとした膨れっ面に戻った。



「俺、悪くねぇし。悪いのはシオだろ?有明となに話してたんだよ?」



そうやって言い訳ばっかり。
言い返すのも面倒くさい。
エイジと話してると疲れる。



「エイジには関係ない。じゃあ、マリアちゃんと楽しんで」



冷たくそう言い放ち、カバンを持つ手に力を込めた。



「面倒くさくなったら、そうやって逃げるのがシオの悪い癖」



エイジの言葉に思わず足が止まる。


ギョッとしたのは、エイジがあまりにも真剣な表情をしていたから。


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