始まりの予感
「逃げんなよ」
棘のある言い方に思わずイラっとする。なんで私ばっかりが悪者になるの。
「じゃあ教えてあげるけどね、エイジの悪いところはそうやって反省しないところだよ」
くるっと振り返り、いつの間にか机の上に座っていたエイジの側まで行き激しく捲し立てる。
「そうやっていつも私のせいにして、私が傷付かないとでも思ってんの?」
エイジは珍しく黙ったまま私の言葉に耳を傾けている。
「いつもいつも、私をイジメて……楽しんで……からかって。それなのに自分は悪くないって、よくそんな事が言えるよね」
わかってる。
きっとこんな事を言ってもエイジには届かないって。
私が言い終えたのを見て、エイジは眉を下げて曖昧に笑った。
「なっ、なに笑ってんのよ!無神経すぎるよ、こっちは真面目に話してるのに。エイジって本当になに考えてるかわかっ……」
その瞬間、エイジに腕を掴まれ引き寄せられた。