始まりの予感
ヘナヘナとその場に崩れ落ちるようにして座り込むと、とっさにエイジが体を支えてくれた。
「ははっ……ダサッ。安心したら力が抜けちゃった」
エイジの手の温もりに、心地良い安堵感が胸いっぱいに広がる。
いつもならすぐに払いのけたりするのに、今は自分からその腕にギュッとしがみ付いた。
良かった。
本当に良かった。
「シオ、大丈夫か?」
珍しく心配そうな顔をしているエイジ。
なんだか今日はエイジの色んな顔を見た気がする。
「なんで私がここにいるってわかったの?」
「そりゃあまぁアレだ……」
エイジは頬をポリポリ掻きながら恥ずかしそうに視線を下に向けた。
「テレパシーでしょ?」
クスッと笑って私が言うと、エイジが驚いたように大きく目を見開いた。