始まりの予感
「ノブ先輩が好きなのに……‼バカ女のせいで全然振り向いてくれない‼」
わああっと泣き出すのを、私はエイジの肩越しに聞いていた。
「ほら〜、エイジのせい……で……泣いた……」
えっ⁉
待って‼
今、マリアちゃんなんて言った??
ノブ先輩って、そう言った?
「えええっ⁉」
まさかまさか‼
マリアちゃんって、エイジが好きなんじゃないの?
「あいつ、中学の頃からノブが好きでさ。俺んとこ来る振りしてノブに会いに来てやがったんだ」
「え……そう、だったんだ」
全然、知らなかった。
「今日もノブを映画に誘えって。なにが嬉しくて3人で映画観なきゃなんねぇんだって感じ」
エイジがポツリとそう呟く。