始まりの予感
「反応見て、からかってたんだ?」
最ッッッ低。
「違うし」
「じゃあなに⁉なんでそんなイタズラしたの⁉」
喜ぶ私を見て、陰で笑ってたんでしょ?
「イタズラじゃねぇよ。本気で、渡そうと思って」
俯き気味に言うエイジの声がだんだん弱々しくなっていくのを聞いて、私は黙り込んだ。
「けど、名前書き忘れたことに後から気付いて……しまったって思った時にはもう遅かった。嬉しそうにニコニコしながら手紙抱えてるシオ見てたら、本当のことが言い出せなくなったんだよ」
観念したように言うエイジがウソを言っているとは思えなかった。