始まりの予感
「マ、マリア、知らないもんっ」
「マリア‼」
バレバレのシラを切るマリアちゃんに、エイジが叱咤する。
「いいよ、無理に謝ってくれなくても。本当に悪いと思った時に謝ってくれればそれで十分だから」
本音だった。
無理やり謝ってもらっても、誠意が見られなかったら意味がない。
なにより、私にも悪いところはあったかもしれないからね。
お互い様ってことで、今日のところは良しとする。
「あ、ノブ来たみたい。行こ、私達邪魔だし」
「俺からしたら向こうが邪魔だけどな」
エイジがニヤッと笑って私の耳元で囁く。
さっきまで反省の色を見せてたのがウソみたいに、今はイタズラな笑顔を浮かべていた。