至上最悪の恋愛

でも、仕方ないじゃん。
ずっと好きだったんだからさ…。

まあ、逃げただけだけどね。
そこは自覚してますよ、ちゃんと。




「さあ、ここからは若いお二人に任せましょう」

「え?母さん?」

「まあまあ、智尋。修二くんと会うのも久しぶりなんだから、ゆっくりお話でもしてなさい」



そ、そんな!
待ってよ、あたし修と二人になんかされたら…。

そんな願いも届かず、二人きりにされたあたしたち。



「………」

「………」



気まずい。気まずすぎる。
だって、5年近く会ってなかったんだから当たり前よ。



「げ、元気だったか?」

「…うん」

「そ、そうか…」



ほら、修だってとまどってるじゃない。
黙って引っ越したし行き先も黙ってて。
尚且つ、知ってる人全員に口止めしたくらい。

それだけ、修から離れたかったのに
なんで、あたしはここにいるのやら。



「どこに…いたんだ?」

「…うん、ちょっと言えない」

「…どうして?」

「………」

「言えない?」

「うん」

「俺はそんなに頼りないか…?」



そーいう問題じゃない。
修自身はとっても頼りになるし、人間として素晴らしい。

ただ、あたしが修から逃げたかっただけなの。


< 9 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop