§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

事務所への階段を駆け上がりドアの前に着く

呼吸を整えるため、大きく深呼吸をして
ドアを叩き中へ入る


かつ乃先生の机のパソコンの画面を真剣に睨んでる直がいた


中に入った私に気付いていないようで
ゆっくりと近づいてみる


机の目の前に来ると、ようやく気付いた直は顔をあげた


「わ! さ、咲和?! もう、終わったのっ?」


「うん…抜けて…きた…」


直の顔をじっと見て返事をした


「え!? 抜けてきたって…?! だいじょ…」


座っている直の方へ移動して、直の視線に合わせて膝をつく


「さ、咲和?」


「直! なんで?! なんで、言ってくれなかったのっ?!

今週末って、すぐじゃないっ!

2年も…2年も離れるの…

さみ…し…ぃよ…」


直の膝に顔を埋めた


「ごめん…咲和…今日のコンテストが終わったら言うつもりだった

オレだって咲和と離れるの辛い…

出発を延ばしてきたけど、向こうから今週行かなければ
話はなかったことにする、って請求されて…


咲和…

2年だけ我慢して?

オレも、向こうで頑張ってくる

それに、咲和にもっとふさわしい男になって帰ってくるから」


私の顔をあげ
頬を手で包み流れる涙を拭ってくれる



「直…」


優しい瞳が私を見つめる


「直は、ちゃんとイイ男だよ、私にはもったいないくらい

あの時の高校生だとは思えないくらい、イイ男になって
私に会いにきてくれたよ」


直が

え?という表情をした


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