§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)
「咲和せんせぇ
かつ乃せんせぇが呼んでますよぉー」
1Fの教室のドアのあたりから愛ちゃんの声
げ…
また…
愛ちゃんに材料の計量を任せ事務所へ向かう
入口の鏡で全身をチェックしてドアを叩く
コンコン
「失礼しまーす」
中に入ると
渡部さんがソファーから立ち上がりこちらを向いた
「咲和ちゃん、元気ぃ?」
そう、コンテストが終わって以来
渡部さんは、私のことを“咲和ちゃん”と呼んでる
しかも、あっち系だということも
すでにカミングアウト
「こんにちわ、ご無沙汰してます」
会釈をしてかつ乃先生の机に近づく
「咲和せんせ、今日は渡部さんがいいお知らせ持ってきてくださったのよ!」
「はぁ…いい…知らせ?」
「じゃーんっ」
渡部さんの方を向くとスカイブルーの封筒を私に見せる