§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

「あのね、咲和せんせ、しばらくそっちに居てくれるー?」


「はぁっ?!」


かつ乃先生は何を言いだすのだろう…



「コンテストの時ね、咲和せんせのケーキ
えらく気に入ってたパティシエさん、いたでしょ?」


「はぁ、たしか、シェ・カワバタの…」


「そう! その川端さんがね、今度ニューヨークに
お店を出すんですって!

そのお店の看板商品に、咲和せんせのあのケーキを出したい、んですってー

もうね、お店は大方できてて、
その、看板商品を決めるだけなんですってー

川端さんも、先週からそっちに言ってて
咲和せんせ、がそっちにいる、って話したら
ぜひ、逢いたい、ってなったの

急なんだけど、川端さんのお店、行ってくれる

住所は、メールするわね 

じゃ、よろしくぅー」


ガチャ…ツーツーツー


よろしくねっ!って…


またかい…


私がスマホを耳に当て固まってると
直が、頬をつねった



「い、いたっ」


「何、固まってんの? どうしたの?」


かつ乃先生からの話を直に話し、
あのケーキは、直のために作ったから
正直、まだ迷ってることを言った


「いいじゃん! あれは、幸せと愛いっぱいのケーキだろ?

恋人たちが幸せになるケーキにしてくれ、って
川端さんに、咲和の想いを伝えればいいんじゃないの?」


「うん…そうだね

私たちみたいに、幸せな恋人たちが増えてほしいもんね」


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