§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)
「はぁ…」
スマホを耳から離し、しばらく呆然と立ち尽くす
「取材…って…」
その時
後ろからフワリと腰に腕が絡み、肩に直の頭が乗った
「どした? こんな時間に?」
「ゴメンね、起こしちゃったね…」
「うん、いいょべつに…」
「あ、何か飲む?」
「そうだな、あ、オレやるから、咲和座って…」
「ありがとう」
ソファーに座って待っていると
カップを二つ持って直が戻ってきた
「はい、ココアにしたよ」
一つ私に手渡し、隣に腰かけた
「で? 電話なんだったの?」
電話鳴ったの気が付いてたんだ
「ん、かつ乃先生からだったんだけど
なんかね、私の料理本が先月あたりから売れちゃって
渡部さんが取材の人連れてこっちに向かってるんだって」
「へぇーっ、すげぇじゃんっ!」
「でも、前と違って、テレビ局とかも来るらしいの
なんか、どう対応したらいいか…」
「心配することないよ、渡部さんがついてるし
あの人、ああ見えて、めっちゃ仕切り屋だぜ」
「そうなの?!」
「あぁ、大丈夫だよ、渡部さんに任せて
咲和は、咲和らしく、対応すればいいよ」
「うん…」
隣で、私の髪を撫でながら、直は安心させてくれた
しかし
この取材の一件で
予想外な事が起こってしまう