§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

驚きのあまり
身体は硬直、
心臓が全速力で走った時と同じくらいの速さで
鳴ってるし、
顔は、真っ赤…耳まで熱い…

けれど、
目の前にある桜井くんの
閉じた瞳と、長いまつげを凝視してしまう


なんて、キレイなまつげなの?

唇だって…

なんだか…羽二重餅のような…

って…私…なに言ってんのっ?!


柔らかいものが唇から離れた時
犬が舌で舐めるように
ペロリと、唇を下から上へと舐められた


そして…


「中の上(チュウのジョウ)…かな、
でも、これからだね…」


「へっ?!」


中の上?! な、なにっ?なにそれっ?!


何がなんだか、ワケがわからない私は
その場に立ち尽くすしかなかった…


「じゃ、あとでね、咲和せーんせっ」


ニヤリと勝ち誇ったような顔を私に向け
桜井くんが踵を返し
事務所に戻っていった



一体…なにっ?!



きょ、今日は、厄日…?!


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