§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)
「じゃぁ、明日からオレは咲和先生専属カメラマンですから
よろしくお願いします!!」
桜井くんが何気に、私の前に右手を差し出した
出されたからには、私も応えねば…
同じように右手を出し、桜井くんの右手に重ねた
「よ、よろしくお願い…します」
すると、桜井くんの左手が私の右手に被さって
私の右手はすっぽりと
桜井くんの手に包まれた
あ…あったか…いし…柔らかいな…
男の人の手なのに、妙に安心感のある手だった
そして
私が、桜井くんの手の中から
自分の右手を引っ込めようとしたけれど…
あ、あれ…れ…?
包まれたまま…ぬ、抜けない…
え…?
不思議に思って…
「あ、あの…桜井…くん…?」
彼を見上げると…
一瞬…
口元を上げ、ニヤリ…とした…
だけど、私の手を包んでいた両手は離れた
な、なにっ?…いまの…?