§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

「じゃぁ、明日からオレは咲和先生専属カメラマンですから
よろしくお願いします!!」


桜井くんが何気に、私の前に右手を差し出した


出されたからには、私も応えねば…


同じように右手を出し、桜井くんの右手に重ねた


「よ、よろしくお願い…します」


すると、桜井くんの左手が私の右手に被さって
私の右手はすっぽりと
桜井くんの手に包まれた


あ…あったか…いし…柔らかいな…


男の人の手なのに、妙に安心感のある手だった


そして


私が、桜井くんの手の中から
自分の右手を引っ込めようとしたけれど…


あ、あれ…れ…?


包まれたまま…ぬ、抜けない…


え…?


不思議に思って…


「あ、あの…桜井…くん…?」


彼を見上げると…


一瞬…

口元を上げ、ニヤリ…とした…


だけど、私の手を包んでいた両手は離れた



な、なにっ?…いまの…?


















< 35 / 138 >

この作品をシェア

pagetop