§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

何事もなかったように
桜井くんは、江川さんと
テーブルに散らばった企画書を片づけている


私の…気のせい…かな…?


「咲和先生、じゃぁ、これで僕は失礼しますね
ありがとうございました
おやすみなさい」


「あ、はい
こちらこそ、ありがとうございました
おやすみなさい」


江川さんが
企画書を封筒に入れ、
ソファーから立ち上がり
事務所を後にした


って…
桜井くんは、江川さんと帰らない…の…かな…?


ソファーに座って
テーブルの上に置いてある
ペットボトルの水を飲んでいる
桜井くんを眺めた


私の視線に気づいたのか
水を飲み終えた桜井くんが
私を見た


「ちょ、咲和先生、なんすかっ?!
オレの顔になんかついてますかっ?」


「あ、い、いぇっ…なんでもありませんっ!

あっ、と、戸締りしますのでっ!」


事務所のカギと自分の席に置いてあったカバンを持ち
出入り口のドアへと進み、
桜井くんに出るように促す


「ぷっ!!
咲和先生、なーにオレに敬語なんて
使っちゃってんすかっ?」


笑いながら、桜井くんがドアに近づいてきた


「い、いぇ…べ、別に…」


てか、私めっちゃ緊張しちゃってる…


「あ、それか、さっきのキスがそんなに良かったすかっ?」


私の目の前に立ち
上から私の顔を覗きこんできた


「ち、ち、違いますっ!!

変なコト言ってないで、早く出てっ!」


ヤダもぉー
調子が狂うー











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