§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)
「もしもし…」
『咲和? ヨカッタ…
何度も電話したんだよ、何かあったのかと思った』
受話器の向こうから、安心した悟さんの声
「ご、ゴメンなさいっ!
レッスンが終わってから、会議があったのっ
それに長引いちゃってっ
今、会社出たとこなの」
悟さんと話してる目の前に桜井くんが立ってる
気になって回れ右をしても、私の前に移動してくる
んもっ!なんなのっ?!
声は出さずに、桜井くんを睨む
だけど、面白そうに笑ってる
「ご、ゴメンね 悟さん
アパート戻ってからかけ直すね」
そう言って、通話を切った
「なーに、咲和せんせ、もういいの?」
「もういいの、って!
こんなとこで、それもあなたがいちゃ
電話できないデショっ」
スマホをカバンに仕舞いながら
アパートに向かって歩き出す
「オレは全然構わなかったんだけどなー」
「こっちが構うわよー」
アパートへと向かう私の後ろから
桜井くんが、ついてきている
「ってか! なんでついてくるのっ?」
立ち止まり後ろを振り返り、桜井くんを睨む