§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)
ガチャ
ドアを開けると
大通りに先日出来た
具沢山のスープで有名なお店の紙袋を
私の目の前に見せてから桜井くんが紙袋の横から顔を覗かせた
「咲和せんせー
いつまで寝てんすかーっ?
朝は日の出と共に起きないとー」
靴を素早く脱いで
勝手知ったる自分の部屋のように
ずんずんと進んでいく
「ちょっと勝手に行かないでくれるーっ?!」
桜井くんの背中に言いながら
後ろをついていく
「へー、オレの部屋と
間取りちょっと違うんだー」
リビングに入り、
ダイニングテーブルに紙袋を置き
キッチンへと行こうとするので
「桜井くん!
彼氏でもないのに勝手にウロウロしないのっ!
いい加減、怒るわよっ!」
すると
ピタリと動きが止まり
私の方へクルリと向きを変え
「じゃー
彼氏だったら、ウロウロしてもいいんすかっ?」
「えっ?!」
「それならオレ、咲和せんせの彼氏になりますよ!」
そう言って
とびきりの笑顔を私に向けた…
う…なにょ…その笑顔…
一瞬…ドキッと胸が鳴る…
あ、いやいや違う、違う…
それは、イケメンの反則技だわ…
「そ、それは無理ょ…
私、フィアンセ、いるからっ」
そうよ、そう
私には悟さんがいるんだもの
しかも
年下なんて有り得ないデショ…?