§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

ヤダっ…な…に…?


また胸の奥がキュッとして
私の中の何かが鳴った…


元カレと別れてから
すっかりと、恋人同士がするようなしぐさには
とんと無縁だったからドキドキしてしまう…


悟さんとだって、こんなことしたことないし…

離れてるから当たり前だけど…



「せんせ? もう、食べないんすか?」


静止状態の私に、桜井くんが話しかける


「え?あ? う、うん食べる食べる」


ううん、食べるけど…


「桜井くん…」


持っていたサンドイッチをお皿に置いて桜井くんを見つめる


「あのね…」


ん?って、子犬が首を傾げるようなしぐさ、また反則でしょー


「あのね、こうゆうこと、今日だけにしてほしいの」


「こうゆうことって?」


「えっと、突然、おウチに来るとか…電話だとか…」


「んー? 電話は、突然には入らないですよね?」


「あ、うん、そーね…

って、とにかく!
私の領域に突然入ってこないでほしいというか、なんというか…」


うーん、なんて言ったらいいのかしら…


あ…れ…

私の話はお構いなしに、桜井くんはスープをズズッと飲み干した


「はぁーっ うまかったぁーっ」


もーぉっ!
私の話はどーでもいいってことぉっ?!






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